微生物学 後期試験 解答

 

1. )内にもっとも語句を当てはめて文章を完成させなさい。重複使用可

微生物とは微小生物の総称であるが、一般に、原核生物である細菌と真核生物である真菌および原虫、さらには、無生物感染体であるウイルス指す。すべての細菌は、染色性状の相違からグラム陽性菌およびグラム陰性菌の2つに大別される。この異なる染色性状は、各々の細胞壁の構造の相違に基づいている。すなわち、グラム陽性菌細胞壁は、主に、厚くて密な網目構造をもつペプチドグリカンを、また、その外側に多量のリンを含んだ複合多糖であるタイコ酸を有する。一方、グラム陰性菌細胞壁は薄いペプチドグリカンとその外側に脂質二重膜からなる細胞壁外膜を有する。その細胞壁外膜の内側の層はリン脂質で、また、外側の層はリポ多糖で構成されている。下等真核生物である真菌原虫は、光合成能を持たないことで藻類と区別できる。さらに前者は、1つの細胞内に複数の核を有する多核体を基本的な細胞形態とすること、さらには、細胞壁を有することで、後者と大きく異なる。ウイルスは、主にタンパク質と核酸で構成される無生物高分子であり、異化および同化反応を司る代謝活性を持たない。従って、生きた感染細胞の持つ代謝活性を利用することでのみ複製しうる偏性細胞内寄生体である。また、ウイルスのうち、細菌に特異的に感染するものをバクテリオファージとよび、細菌の遺伝情報の伝搬と密接に関係している。プリオンはタンパク性感染粒子と考えられ、微生物とはことなる病原体として取り扱われている。

 

2. 表中の6種類の消毒薬における分類および一般性状には10ヵ所誤りがある。解答欄の対応するセルに正しい記述は○を記し、誤った記述は訂正しなさい。消毒薬名は訂正しないこと。

消毒薬名

分類

作用機序

消毒対象微生物

適応

特徴

グルタルアルデヒド

高水準

タンパク質アルキル化

B型肝炎ウイルス

医療器具

残留性が高い

ポピドンヨード

中水準

酸化作用

芽胞非産生菌

術野、粘膜

有機物により

作用低下

アルコール

中水準

タンパク質変性

緑膿菌

正常皮膚

引火性、

皮膚刺激性

次亜塩素酸

中水準

酸化作用

真菌

水・汚物

粘膜刺激

速乾性擦込式消毒剤

中水準

タンパク質変性

MRSA

手指消毒

有機物により

作用低下

塩化ベンザルコニウム

低水準

タンパク質変性

表在常在菌

手指消毒

粘膜適応可能

 

3. )内にもっとも適切な語句を用語欄から選び文章を完成させなさい。重複使用不可。

 (1)原核生物は(細胞小器官)を持たず、個々の酵素が細胞質や細胞膜に存在している。

  (2)(細菌)は、2分裂によって増殖する

  (3)(芽胞)は、グラム陽性菌にのみ観察される耐久体である。

 (4)鞭毛は、細菌の(運動性)に関係している。

 (5)(プラスミド)は、本質的に細菌の分裂・増殖に必須な遺伝情報を含まないDNAである。

 (6)黄色ブドウ球菌は、(耐塩性)を示すことから高張液中でも生息することができる。

 (7)真菌の細胞質膜には(ステロール)が存在する。

 (8)生体に病原体が付着して安定した状態を(定着)という。

 (9)院内感染の予防には、(手指消毒)の徹底がもっとも重要となる。

 (10)感染成立後発症にいたらない場合を(不顕性感染)という。

 

   −用語欄―

   省略。ごめん。

 

4. 微生物が独自にもつエネルギー生産系について簡潔に説明しなさい。

微生物は、様々な環境下でも育成を可能とするために動物にはないエネルギー生産系を獲得している。

嫌気呼吸、発酵、等がその例である。この説明は、それらの事象が簡潔に説明されなければならない。

 

5. ウイルスの感染・増殖機構を簡潔に説明しなさい。

ウイルス粒子のレセプターを介した特異的吸着に始まり、侵入、脱殻、mRNAへの転写、翻訳(初期タンパク)、ウイルス核酸の複製、翻訳(後期タンパク)、ウイルス粒子の形成、放出に至る過程を簡単に説明する。その他に、エンベロープ、エクリプス、プロウイルス、逆転写酵素など付加的な説明があれば加算。